茶太郎の雑記

ライター見習いの気になったことまとめ。

コリン性蕁麻疹(AIGA)退院後感想 -検査から治療を経て-

皆さまこんにちはこんばんは、茶太郎です。

世界中が大変な中、とりわけ自分自身も同じ「病」という分類で戦って参りました。

 

日々の日記、メモとして、入院7日間の具体的な検査内容、治療後の変化等を記録してきました。日記調と言うこともあって語気が荒くなっておりますが、生暖かい目で読み進めて頂ければ幸いです。

 

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◼️3月30日 入院・検査初日

 

ついにこの日がやってきた。待ちに待った、と言わざるを得ない。

さて、この時はまだ難病というのは確率的に50%くらい。

 

世間はコロナ一色。朝一からマスクと消毒と、一応の完全防備で出陣。

入院手続きもさくっと終わって、病室満員につきちょっといい部屋になってしまった。ここにもコロナ影響が出ているのだろうか

 

さて、インフォームドコンセントから。今回の検査内容の説明。

基本的には調べていた内容その通り。まずはどれくらい汗が出ているかの検査。電気的な刺激による発汗検査、その他原因物質投与による反応確認、生検などなど、細かい内容は別記していくとして。

 

まず本日初日、一日目はミノール法。理科の実験そのままに、ヨウ素液、まさしくイソ◯ンを身体に筆で塗りたくっていく。パンツ一丁でくまなく茶色に染まって、扇風機とドライヤーで乾かされれば顔までパキパキに。鏡を見たらきっとどこかの原住民族みたいな感じだろうか。

 

その後、今度は日焼けオイルよろしくサラダ油か何か(コーンスターチ)を塗布。一転して身体中が潤うというか、ベタベタのぬるぬるに。その後、電話ボックスサイズの個室サウナとやらに入って6015分。本当に天ぷらかフライにされてる気持ちでじっと時間を待つ。

 

さて、この時結構蕁麻疹が出ることを覚悟して、もし無理そうなら助けを呼ぶ体制で居たものの、何故か終始蕁麻疹が出ることはないまま時間終了。ホッとしたような、していないような。

 

結果としても腋の下以外に発汗が見られず、全身の98%の無汗ということで無汗症疑いが高まった。そのままシャワー室に通されてお湯を浴びると、みるみる排水溝が真っ黒に染まっていく。水分と反応して……つまり本来なら全身この色に染まらないといけない所、全く汗がかけない状態を改めて実感して、流れていくヨウ素液を眺めながら悲しみつつも、サラダ油が中々落ちず、小さいヤキモキを抱え、四苦八苦しながら病室へ戻る。

 

その後、今度はガムを噛んで唾液を採取する検査。

さて、今回の無汗症疑いは「除外検査」というもので、今の症状から察するに、貴方はこれとこれとこの病気、AからCまでの疑いがありますよと。そのうち例えばABはある程度理由が明確になってる、でもCは原因不明。となれば、AでもないしBでもない、という病状ならCですね、という診断になるとのこと。

 

このガムの検査は上述でいうAにあたる病気が、唾液量が減る?とかなんとか、それを確かめるもの。もちろんそんな自覚症状はなかったので、ガムなんて噛んでいれば唾液は止まらず、これについては何も言及がなかったけれど、きっとAではなかったのだろう。

 

これにて1日目が終了。病院食も美味しいけれど、21時消灯が日々のブラック体質に優し過ぎて全く落ち着かない。そうは言うものの暗くなってしばらく目を閉じていれば、22時頃には入眠出来ていて、その日は比較的穏やかに終了することができた。

 

◼️3月31日 入院・検査2日目

 

6時起床、案外すんなり起きられて、顔を洗って歯を磨いてスタンバイ。

朝ごはん量が少ないかと思いきや、食べると結構満腹。検査の内容が気になってあまりそれどころではなかったりもして。

 

午前中の検査はSSR(交感神経皮膚反応検査)という、足の裏と手の平に電極をつけられて、その発汗前の電気反応を見るという検査。発汗するに当たって何らかの電気的反応が見られるとの事で、脳が正常に「汗をかけ」と指令して、それが伝わっているかのテストだ。

 

診察台に横たわった時点で暑くて、既に手足が蕁麻疹モード。ピリピリチクチクしてきて、正直早くしてくれって言いたいのを堪えて待つ。そこに電極が表裏付けられて手足はにぎにぎするしか出来ないまま、思いっきり深呼吸をするように言われる。すると面白いように手足がピリピリと痛み、蕁麻疹が。しかし、予想に反して足の裏だけは発汗しているとのこと。その量も、指令までの速度もそれほど変わりなし。

 

その後何回かやりながらも蕁麻疹の痛みに耐えているのを察知してくれてか、早めに終わらせましょうと、お医者さんの気遣いが嬉しいと思ったのも束の間。

 

今度は何かしら変なものを持ち出して、額の眉毛の間あたりにビリッと刺激。その瞬間、先よりも強い蕁麻疹、痒みと痛みが襲って、何だこれはと。その反応そのまま、よりくっきりとした結果が出たようで、その後2回ほど耐えて電気バージョンをお見舞いされ、検査は終了。

 

結果、手汗は全くかけない。足の裏はかけるが、足の甲はダメ。ただし、手に関しても反応速度は正常なようで、おそらく指令の先の掌の汗腺か、指令先末梢神経に何かしらの異常があるのではないか、というお話。まさしくこれは因果関係も証明されていない、原因不明の難病たる部分なので、推測の域を出ない。

 

とにかく体が痒かった。改まって検査と称してでも蕁麻疹を誘発させることがここまで心をドギマギさせるとは。ただ、深呼吸で手汗足汗を掛ける、という事実にはちょっとしたウンチクを貰った気分。言われてみれば緊張を解こうとして深呼吸してパチパチなった記憶があるような気もする。

 

午後、QSART定量的軸索反射発汗試験)をスタート。これがやばかった。

今度は「アセチルコリン」という物質を皮膚に塗布これも電極を通して、あたかもその部位で「発汗が起きている」状況を作る検査。この「アセチルコリン」とやらが発汗を促すための伝達物質で、僕の身体の各汗腺まで到達するどこかでエラーを起こして、このアセチルコリンによって起きる蕁麻疹が「コリン性蕁麻疹」というわけなのだと。理解も60%くらいのまま、検査は進む。

 

初めは5分。右太腿に貼り付けられた電極からピリピリっという刺激が流れて2分ほどで、下半身に蕁麻疹の予兆のような感覚。先よりも痛い。痛いと言うより、「めっちゃ痛くなってくる予兆」をひしひしと感じていた。この蕁麻疹、流石に長い付き合いになってきて分かったのは、ピリピリとした痒みは入浴などをしていても同じだけれど、まさしく暖まった場所から、汗をかいて冷やそうとした所から順に痒くなっていく。全身が一気に暖まれば場所も関係ないが、今回は半身浴をしていた時のような、じんわりと痒みが広がっていく感覚に襲われた。

 

何となく予想はしていたものの、その痒みと痛みは時間を経る度に尋常でなく、これまで感じてきたレベルで最高の、ちょうど1月にトイレで意識混濁で倒れ、クラクラしていた時と同じように、体が火照って行くのがわかる。そうしてもうあと30秒というところで、上半身、そして頭に至るまで蕁麻疹の痛みが広がりつつも、もう30秒だからということで何とかキープ。どうやって耐えたか覚えていない。

 

その後電気を止め、そのまま5分様子を見るとの事だったが。何故か分からないが、この電気を止めた瞬間に一気に蕁麻疹いわばその「アセチルコリン」なのか、全身を駆け巡るような感じで、ブワァ!と、特に頭に目掛けて飛び込んできた。ピリピリチクチクと、その「アセチルコリン」と言うものが擬態化した何かで、針を持って毛穴を内側から刺してくるイメージなら、ここまでは皮膚の下をウロウロと、そしてゾロゾロと集まってきていたのが、遂にその槍を全兵士突撃と言わんばかりに突き刺してくる、そんな痛み。

 

その衝撃と痒みと痛みで、診察台に横たわりながらも強い目眩と灼熱感に耐えきれず、これはやばいですとSOS。しかし、額の生え際、人中(鼻の下)だけには汗をかいていて。そうかそうか、本来なら「汗をかけ!」という指令が身体中に回ったのだから、全身に汗をかいているはずなのだ、と勝手に納得。逆に言えば例によって初日の結果とさほど変わらない、ほとんどの部位に汗をかけないのは変わらない事実だということ。

 

軽い過呼吸と頭痛。慌ててお医者さんも電極を外してくれて、ゆっくり起き上がってみれば本当に、これまで最高レベルの蕁麻疹がくまなく全身に。一つ一つの毛穴が真っ赤に印をつけたみたいに、腕から足からお腹から、蕁麻疹の痒みが出ない顔面以外、その反応が如実に出ていた。

 

すぐに保冷剤を持ってきてくれて、水を飲みながら暫し休憩。これほどの過剰反応は見たことが無かったらしく、相当の重症だとのこと。意識ははっきりしていたものの、暑くて倒れた、まさに熱中症で倒れた時のような気分で、10分くらいそのまま体を冷やして。

 

本当であればこのまま同じ物質を皮下内へ注射したり、汗を採取してパッチテストをしたりと検査があったようだが、今回の検査結果から見てリスクを負わないよう、という医師の判断で、今日の検査は終了。それはそれで何となく不安というか、検査するならとことんお願いしたい気持ちがあったものの、普通にしんどかったので内心ホッとして。

 

病室に戻ってからも頭痛と軽い吐き気、目眩が続いてしばらく保冷剤を氷枕にしながら。全身に駆け巡る蕁麻疹の痛みと痒みが時折余韻として体に走ってきて、正直結構しんどい状態が続いた。

 

幸い風呂にも入っていたため、水シャワーを浴びるかと聞かれたがとにかく休みたかったので、食事だけ済ませてあとは簡単に寝る支度を終わらせると、そのまま21時には就寝。改めて自分の身体の異常さ加減と、重症度合いを知ることが出来て、悩みが深まるばかりであった。その反面、少しずつ明確になっていく病状に対して、安堵の気持ちも膨らんでいる葛藤した一日だった。

 

◼️4月1日 入院・検査3日目

 

世はエイプリル・フール。けれどコロナ一色でそんな空気でもない。

それに昨日は検査もそうだが、志村けんさんの訃報で中々心が苦しい1日だった。

その昨日の検査の後遺症から、鈍く弱い頭痛が残っていた。

 

保冷剤を交換してもらいながら、食事は普通に摂取可能。と、この時点で99%「無汗症」だということで、本題の「ステロイドパルス療法」についてのインフォームドコンセントを受ける。

 

単純に、ステロイド投与で自己免疫反応を抑えて、蕁麻疹を抑えますよ、というところから少しずつ汗をかいていく、無汗の範囲を減らしていくのが狙いだ。口径摂取では間に合わない、正規の30倍くらい?のステロイド1日に3時間の点滴、×3日間というのがこの治療だ。数字だけ見ると結構ビビる。ステロイドの大量服用、ドストレートにドーピングですね。

 

細かい医療的なことは分からないものの、これが1クール。そして、一度のステロイドパルスの後約1ヶ月~2ヶ月明けると次のステロイドパルスを受けられる。これを3クールほど繰り返すと寛解した、という症例が結構多い。1クールで治った人もいるとかいないとか。

 

やっぱりこれが必要か、と内心「治療」の方に進んでホッとした。もちろん無汗症でなければ服薬で治ったりもするだろうが、これまでの感じからして根本から何か治療しないと悪化し続けると思っていたからだ。

 

分かりました、と言いながら一応今日の検査と明日のカンファレンスで最終決定をして、問題なければ早速明日から点滴を始めて、日曜日に退院。という旨、説明を受けて了承。

 

肝心の今日は生検、皮膚の一部をパンチ穴あけパンチの要領で皮膚を切り取り、断面を顕微鏡で観察して、汗腺がどうなっているかを検査するもの。

今回は目立たないような場所、というところで右のお尻の一部を切り取ることになって、早速局部麻酔を行っていく。

 

これもまた手術台に登ってしまうと緊張と不安とで蕁麻疹が誘発される。麻酔の鈍い痛みもそれを助長しながら、これは耐えるしかない。そうして麻酔が効いてしまえば、あとはうつ伏せになりながら縫合を待つのみ。けれども蕁麻疹は麻酔では消えない。

 

生検の手術自体は約15分ほどで終了。23時間すると麻酔が切れて鈍い痛みが伴ってきたが、ある程度予想の範疇。どちらかというと昨日の頭痛がまだ響いていることと、気温が上がってきたせいか、普通に過ごしていても蕁麻疹が出て来始めて、余計保冷剤が手放せなくなった。

 

本日もこれにて終了。検査はひとつだけだったが実は朝、本来の安い病室が空いたとの連絡で簡単な引っ越しを行っていた。大したことでもないが、安い部屋になった分、仕切りはカーテンだけになっていわゆる普通の病室。それが何に影響したわけでもないが、どちらかと言えば気分転換にもなって個人的には丸。

 

予定していた検査、としてはここまでで終了。ホッと一息ついても蕁麻疹と術後の痛みと頭痛と、この日は寝るのに時間がかかって、23時くらいまで起きてしまっていた。

けれどどこかで力尽きて寝落ち。明日から予定通り治療が開始して、良くなっていくことを祈るばかりだ。

 

 

◼️4月2日 入院4日目 ステロイド投与1日目

 

さて、早速朝一回診。白い巨塔よろしく教授陣が10名ほどぞろぞろと訪れて、一人ベッドに座りながらポカンとやりとりを見つめる。やっぱり結構な難病なのか、色々聞かれたり話し合ったり、身体を触って乾燥してるね、だとかそんな話を23分して、「それじゃあ治療しようか」と言ってもらって呆けていると、看護士がすかさず「この後点滴始めていきますね」との声。ここで我に返ってよしよし、やっとここまできましたかとホッと胸を撫で下ろす。と、実際はここで始めて「特発性後天性全身性無汗症」という指定難病ですよ、という宣告を受けたわけで。

 

内心やっぱりそうか、良かったよかったというのが強いけれど、それでも難病かぁという気持ちもどこかにあって。それでも、何度も思い悩んできた通り、これは「治す」ために努力するしかなくて、原因不明ともなればそれはどんどん前向きに取り組まないと、治るものも治らないだろうと、今一度自分自身に喝を入れた。

 

さて、僕は注射が苦手だ。血を見るのが苦手なので、その緊張状態でまたもや軽く蕁麻疹が誘発される。なので注射で痛いのか蕁麻疹で痛いのかも分からず、気がつけば点滴が打たれてたわけだが。

 

まだ一昨日のQSARTのうつ熱による頭痛が地味に残ってるのと、お尻を生検で切り取ったため仰向けもちょっぴりしんどい。点滴し始めから1時間くらいは緊張と痛みと蕁麻疹の痒みでバタバタ。保冷剤も貰いながらウゴウゴしたりして。

 

副作用的なところで言うと、30分くらいして口の中に苦味が。水を飲んだ時にふわっと感じて、目薬とかそんなような、薬っぽい苦味。ただ食事を食べたら普通に味覚は衰えて無かったので、それほど強いものではないのかもしれない。

 

あとは気になっていた不眠。これも21時就寝で、いつもと寝入りの感覚は変わらず。ただ不安だったからか、ちょうど深夜1時に覚醒。トイレ行ったりして1時半にもう一回頑張って寝てみたら、普通に7時過ぎまで寝てしまっておりました。

 

1日目はステロイドの効果的なものは特に感じることもなく、難病になったよ、なんて報告を方々に飛ばすだけ。入院も4日目になると上げ膳据え膳、せめて歩行やら食事が介護なしで出来る病態であることに感謝しながら、入院生活で存分に休養しておりましたとさ。

 

◼️4月3日 入院5日目 ステロイド投与2日目

 

始めて寝坊したかもしれない。7時半になると普通は血圧やら体温やら、看護士さんから催促されるはずなのだけれど、それも無視して眠り続けてたのだろうか。

けれどどちらかと言えば不眠を心配されていて、全然眠れました、食事も大丈夫です、という話をしたら特に問題はなさそう。

 

ただ、腕の点滴針の突っ張った感じに未だ慣れず、ぺパリン内をウロウロしてる自分の血液にもうわぁと感じながら、蕁麻疹についてはそれほど変わらないイメージ。

 

と思いきや、実は前々からソーシャルゲームをやると手足にチクチク、蕁麻疹症状が必ず現れるというジンクス?ルーチン?みたいなものがあって、それも結構集中して、

手に汗握るような感じで取り組んでいるもんだから、110分程度終える頃には水場に走って首から顔から水をぶっかけて体を冷やさないと、なんてのがお決まりだったんだけれども。

 

しかし、その日は本当に久々にその症状が無かった。蕁麻疹とゲームとの因果関係を自覚したのはおそらく315日くらいから。もちろんそれまでも電話やら、対面の会話やら、ちょっとした緊張ですぐにピリピリ来ていたが、何もゲームで蕁麻疹が出なくたっていいだろうと嘆いていた所。逆に言えば1つの悪化の指標になっていたものが改善されて、「これはもしや?」と少し気持ちが上向きに。それも、治療に合わせて飲んでいた薬の量も調整…いわば増やしてもらっていた。その相乗効果の賜物かと、本当に喜んだ。

 

そうして午前中に点滴。面倒だったので入浴はなし。朝飯を食べた時は昨日の苦味が消えていたものの、やはり点滴をし始めて30分で苦味が。なんとなく唇が痺れるような気がしたのと、頭痛が残ってるのは例の後遺症かもしれない。

 

あっという間に終わってしまえば、我先にとゲームを起動する。非常に痺れる戦い、それが終わっても……全く体に変化がない!これはすごいと、本当にここ最近の発作、蕁麻疹に耐えられず1戦したら満足というか、疲弊して絶望して、という感じだった所、その反動か1時間近く没頭していたかもしれない。15〜20戦くらいして、全く蕁麻疹を感じない。

 

とにかく、ステロイドパルス、もしくは追加服薬の効果が着実に現れているのだと実感した。他にも、就寝前に必ず通話をしていたのだけれど、昨晩は携帯の放熱に耐えかねて途中で断念。耳に当てているだけで暑くなってきて、蕁麻疹が誘発される。けれど今日は30分近く、普段通りに通話することが出来た。これは申し分ない進歩だと、昨晩気にしていた点滴針すら、少し愛おしくなるような気持ちで眠りに着いた。

 

この晩は単に寝入りが遅く22時頃、そのまま途中の覚醒はなしに6時に起床した。

また、昨日まで精神安定剤を兼ねていた保冷剤も無しで、そのまま就寝することが出来た。全体的に見ても、病状の改善が良好である。

 

◼️4月4日 入院6日目 ステロイド投与3日目

 

起床から身体に異常は無し。食事も変わらず、点滴は午前中。昨日と同じく点滴中に口が苦くなるのは、もうそういうものなのだろうと割り切った。

 

例によって点滴までの間、気晴らしかつ人体実験のつもりでゲームを続ける。やはり蕁麻疹が来る気配が全くない。絶対にピリピリと来ていたのに、本当に不思議に思ってしまう程、けれど正常であることがどれほどありがたい事か、嫌と言うほど思い知らされる。純粋にゲームの勝敗に一喜一憂しながら、点滴を終えると、3日の付き合いだった点滴針とのお別れ。いざとなると寂しくなる、というかそれほど大きい存在になっていた。ありがとう。

 

さて、点滴を終えていざ入浴。と、折角だしと1日目の入浴よりも温度を上げて入浴してみようと決意。2月末の時点では熱すぎるシャワーで、入浴後に思い切り蕁麻疹を発症、ひたすら身体に水をかけて湯冷めさせる、という事態に陥っていた。それ以来出来るだけ湯温は40度、ないし39度とか、本当にぬるめに設定して、なおかつ芯まで暖まらないうちに終わらせる、というのがセオリーだった。

 

と、逆に湯船の場合は熱い湯に入って、チクチクが襲う限界まで身体を沈める。もうだめだと思った所で冷水に近いシャワーで頭から順に冷やす。それでもタイミングを間違えるとひたすらに痒い、痛い、全身が火照ったのか蕁麻疹のせいなのか、真っ赤になってしまい、いてもたってもいられなくなる。そんな状態で延々と水をかけているのも身体に毒なので、極端なパターンを避けるようにした。今考えれば2日目の治療で起きた熱中症症状を引き起こす危険性も有ったため、やはり入浴療法は注意が必要だ。

 

さて、体感温度42度くらいのシャワー、1日ぶりということで少し長めに15分。

そろそろ終了という頃に、久々のピリピリ感が襲う。入浴中に来るのは数週間ぶり。正直ゲームの件で良くなっていたとタカを括っていたことも含めて、結局すぐに完治はしないんだな、と一瞬の絶望が過ぎる。

 

けれどそのピリピリは、ある一定の痛みを超えない。これはもしや、とばかりにあえて冷水はかぶらずに入浴を終了。身体を拭いている内に徐々に温まってくる、ピリピリ感が背中に掛けて襲うものの……次第に額と脇から発汗しているのを感じる。間違い無いだろうかとすぐにもう一度全身くまなく水分を拭き取って、ピリピリ感に耐えながら発汗を待つ。そうすればやはり、額と人中(鼻の下)、脇、そして徐々に首周り。あとはお尻まわり、関節の内側と、汗のかきやすい場所にじんわりと、鏡で見ても分からないが、拭えばうっすら指を光らせる程度に汗をかいているではないか。

 

そのままなんとか病室に戻り、暑い暑いと言いながらも、本来暑いとなってくれば精神的にも緊張が高まり、蕁麻疹が全身に誘発される所だが、そのまま耐えて順調に額から汗をかき続けたまま、クールダウンに成功。まさしくステロイドパルス療法の結果だろうと、改めて実感した。

 

やはり全体的に症状が重症であるとの見方が強く、日々これまでの生活を通しても、悪化の方向にしか進んでいない実感があった。薬を服用しても段々効かなくなってくる、それとも単に症状が悪化に進んでいるのかと悩み続けて、治る未来が全く見えなかった。

 

けれど今回のステロイドパルスを終えて直近の今、確実に何かしらの改善をもたらしたのだという実感が、何よりも確かな今後の希望になっていた。他の患者の方のブログなどを拝見すると、1週間のうちにより汗をかけばいい、なんて話があるので是非ともサウナに篭ろうと思っていたが、生憎コロナ流行中。免疫が落ちている時期に、流石にそれは自殺行為だと思い、とりあえずは帰ってから入浴で発汗トレーニングを積んでいこうと思う。

 

そして今後の主治医の先生方の意向にもよるだろうが、1クールでは2週間目、ないしは1ヶ月程度するとその効き目が落ちてくるパターンがあるとのこと。ただその場合でも、今回の結果から2クール目、そして3クール目を1つの治療のスパンとしている論文が多いため、最高3クールのステロイドパルスで寛解に向けて、大きく前進出来るのではないか、というのが当事者としての感覚、希望的観測である。

 

もう点滴針もない腕、唯一残ったのはお尻の縫合痕。これは来週になくなる。

身軽なまま汗をかいたことに喜びを爆発させながら、消灯の時間にまたゲームに手をつけてみる。するとどうだろう、今度は更に額にじんわりと汗をかいて止まらない。

 

寝不足が不安だったし、消灯してまでやらなくてもいいだろうと思ったがこの際かけるだけかいておこうと謎の欲張り根性でひたすらに汗をかいた。気持ちも高ぶって、絶対に蕁麻疹が誘発されているはずの体は、なんとか絞り出すかのようにして額と首、そして腋から汗をほんの少しずつ。汗をかくことが喜びになるなんて、そんな変態気質になる日が来るとは思わなかっただろう。けれど今確かに喜びが溢れて、興奮さえしているようだった。

 

と、そうは言いながら本当に寝付けなくなってきそうだったので、22時半を過ぎたところで就寝。そう言えば明日退院か、なんてことを思い始めて、火照った体は少し寝苦しかったものの、心は何よりも安らぎに満ち足りた夜だった。

 

◼️4月5日 入院7日目 退院

 

起床は6時。顔を洗って整えて、すぐに荷造り。

パジャマは借り物で洗濯物も無かったので、あまり店を広げていることもなかったから、準備にさほど時間はかからなかった。

 

昨日から同室の患者さんがバタバタと退院して、その際どうやらコロナの影響でよほどでない限り付き添いなども病棟階まで上がってこれないとのこと。まあ確かに言われてみればそうだし、今の自分の最も恐れるのはコロナかもしれない。

 

感染症への耐性が落ちているよ、なんていうのはソーシャルゲームの状態異常みたいなもので考えれば、ダメージが二倍になるのか、なんて悠長なことを考えつつも、だとしたら普通に考えて重症患者になるんじゃないか?と言う自問自答に案外ビビり、しっかりとアルコール消毒後にマスク着用。

 

いつもの回診、そして退院前の処方、医師からの説明。

いずれも此方の今後の治療計画を踏襲した上で考慮してくれ、終始安心した入院・治療が出来た。

 

そのまま準備が出来たらいいですよ、なんて言われて分かりました、ありがとうございます、なんて出てきたもんだから思わずちゃんとしたご挨拶が出来ず、たどたどしくエレベーターへ。いやはや、本当にこの時期の医療従事者の方々には頭が上がりません。いつも大変でしょうが、今回ばかりは尚の事。7日間ありがとうございました。

 

朝は汗をかくタイミングもなく、けれども確かめることは山ほど。

一つ、長袖を着たまま電車に乗ると発症する。

けれどこれはもう朝の時点で大丈夫だと確信していた。それほど昨日、一昨日から症状がぶれておらず、あれだけ自分を苦しめてきた蕁麻疹が今は身を潜めているのが分かったからだ。

 

体表面が露出していないと、汗をかけないので体温調整が出来ない。と、それは汗をかけなければ今も同じこと。そのため靴下を履くのも微妙だし、イヤホンをつけても同じ。出来るだけ夏場のような格好で、尚且つ「汗をかかないような」格好をするのが、蕁麻疹を出さないことに繋がっていたのだ。

 

と、それを逆手にとって少しだけ厚めの長袖、上着を羽織って電車へ。

久しぶりの外気。コロナの事を思い出すと少しぞっとしたが、日曜日の10時で外出自粛を出されてるともなると、流石に人気が少なくて助かった。

 

そのまま一直線に自宅への帰路。心配していた電車内での蕁麻疹も全くないまま、無事に帰還することができた。

 

さて、蛇足ながら。

昼食として買っておいた辛いラーメンを食べてみようと、早速チャレンジ。

普段であればひたすらに汗をかく、辛くて熱いもの。

結果は……辛いけれど、温まったけれど、汗はかけない。

 

やはり朝方は汗をかきにくいのか、それとも半日開けただけで少しずつ汗をかくというところがまた失われつつあるのか。

今夜また入浴して発汗トレーニングをしていこうと思うものの、そんなに全て上手くいかないか、と中途半端なため息。

 

以上、無汗症治療までの7日間の記録。

 

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さて、要するに今の状況としては、

ステロイド及び服薬のおかげでコリン性蕁麻疹とそれによる疼痛は抑制されている

・発汗に関しては改善の兆しがあるもののまだ本調子ではない

と言ったところでしょうか。

 

これまでも、このコリン性蕁麻疹から始まっての無汗症を自覚して、理解して、調査して、その上で自分の体を実験台にしながら向き合ってきました。

 

肝心の根本を解決するためのメカニズムなどはまだ解明されておらず、それはつまり特効薬がないということ。あくまでも経験則などから治療を進める他なく、症状に気がついてすぐ自然に治った方もいれば、10年以上も苦しんでいる方もいます。

 

そんな中で自分に出来ることは、社会復帰を目指してどれだけ早く「汗をかける体を取り戻す」か、ということ。

汗をかけるようになれば蕁麻疹も出ない。それが今回の治療でも明らかになったこと。

 

逆に言えば今のところ「蕁麻疹は出ない」「痛みやかゆみはない」という状態は、まだ良好だった12月くらいの状態。であるとすると、ここから1月2月と悪化してきた経過をもう一度辿ってしまうことになりかねないのです。

 

何より、これは難病です。完治した、やったー!とたかをくくって一年、二年後に再発した、という方もいらっしゃいました。なので完治、ではなく「寛解」という言い方をよくしますが。

 

そのため必死に発汗トレーニングをして、それでもダメならまた治療にかかるしかありませんが、前向きに前向きに、この難病へ立ち向かっていこうと思います。

 

また、この治療までに沢山の無汗症経験者、コリン性蕁麻疹に悩まれている方のブログやtwitterから情報を頂き、現在の治療に至っております。

 

今後もお互いに完治目指して、また症状が引き続いている方はまずは寛解に向けて、一歩一歩進んで行けるよう、情報共有していけたらと思っております。

 

僕の身近な方々。大変ご心配をお掛けしました。

結果としては難病という診断、今後も一筋縄ではいかないと思います。しばらくはお酒も飲めず、また蕁麻疹が再発すれば熱いところも行けないし、行動が制限されてくるでしょう。

 

けれども、社会復帰に向けて、これまで通りの機動力を取り戻すために、今回の発病の経験も何かの糧にしていきたいと思っております。

 

コロナウイルスの猛威がまだまだ収まりそうもありません。

病気とは人類が一体になって戦わなければいけないと、今回の件…渦中にいながら身に沁みた思いです。

 

皆さんもどうか、コロナウイルスだけでなく全ての病気が「万が一」というその万が一が、人ごとではないということ。ちょっとした時の運で、自分が病に冒された時、この記事を少しでも思い出して頂いて、まずは落ち着くための情報収集から進めてもらえたらな、と思います。

 

今後も少しずつ、同病については記事にしていきたいと思います。

 

長文になりましたがここまでお読み頂き、ありがとうございました。

 

茶太